大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)953 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人橋本順の上告趣意第一点について。

所論の被告人の控訴趣意書なるものを閲するに、その趣意とするところは、単に

原審に対して保釈の許可を情願し、あわせて、被告人に対する別件たる窃盗被告事

件を本件に併合して審理されたいというにとどまつて、第一審判決に対する不服の

点を毫も記載せず且つ原審公判でもこれに基き弁論をしていないから、原審がこれ

に対して特に判断を与えなかつたからといつて、原判決に影響を及ぼすべき違法が

あるということはできない。されば、論旨は訴訟法違反の主張としてもとるをえな

いのみならず、明らかに刑訴四〇五条に定める上告の理由たる事由にあたらない。

同第二点について。

論旨は、明らかに刑訴四〇五条に定める上告の理由たる事由にあたらない。しか

のみならず、刑訴規則四四条によれば公判期日に被告人が出頭しなかつたときはそ

の旨を公判調書に記載すべきものであるから、所論の第一審公判調書に被告人が公

判廷に出頭した旨の記載が存しないからといつて、違法であるといえないばかりで

なく、却つて、同調書中の証人Aの供述記載によれば被告人が同公廷に出頭してい

たことが認められる。されば論旨は単なる訴訟法違反の主張としてもとるをえない。

同第三点について。

しかし第一審公判廷に於けるいわゆる検事の冒頭陳述は必ずしも所論のように証

拠によつて立証せんとする事実を逐一具体的に明確に陳述しなければならぬ筋合の

ものではない(昭和二四年新(れ)四八三号、同二五年五月一日当法廷判決判例集

四巻五号七八一頁参照)から、所論の控訴趣意を理由なしと判断した原判決の説示

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は正当である。所論は結局名を憲法違反に籍りて却つて迅速な公判裁判を妨げる主

張を為すもので、明らかに刑訴四〇五条に定める上告の理由たる事由にあたらない

同第四点について。

しかし、前段説明するとおり、第一点乃至第三点の論旨はいずれも法令違反の主

張としてもとるをえないものであるから、刑訴四一一条を職権で適用して原判決を

破棄することはとうてい許されない筋合である。論旨はとるをえない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項に従い裁判官全員一致の

意見で主文のとおり決定する。

昭和二五年一一月三〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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